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民泊市場概要

民泊オーナー必見!その保険、民泊施設における火災・人身・物損事故に本当に適用される?

昨年6月15日に住宅宿泊事業法の施行と同時に旅館業法も改正され、民泊経営が盛んになっています。日本に来る海外からの観光客の旅行スタイルも5~6人の家族や仲間で自由に観光を楽しむコンパクト型に変化してきております。この旅行スタイルに民泊施設での宿泊がピッタリと思い、今後ますます民泊人気が高まり宿泊者の増加も期待できます。

受け側の民泊施設運営者は、民泊施設で起こった事故への対応に注意が必要です。なかでも火災事故については、通常の一般の火災保険の適用が受けられないので、損害を全て民泊運営者がかぶらなくてはならず、大きな損失が発生してしまうおそれがあるからです。今回は、民泊経営をする場合に必須の知識である、上手な民泊保険・民泊補償の加入方法について解説します。

民泊経営をしている場合、民泊施設内での事故に注意する必要があります。
民泊では、不特定多数の人を受け入れることになるので、どのような人が利用するかわかりません。日本の仕様に慣れていない外国人がガスコンロを使ったり、暖房器具などを利用したりするので火災のリスクも高まりますし、水洗トイレに何でも流し、トイレを詰まらせたり、お風呂のお湯を出しっぱなしで外出したりの水漏れ事故が起こることも多いです。この様な民泊施設内での事故が起こった時、通常であれば、加入している火災保険から補償を受けられると考えがちです。しかし、火災保険は火災事故だけの補償であり、民泊の場合は一般の火災保険からは保険金の支払いを受けられません。保険適用する場合、建物は用途によって取り扱いがことなります。具体的には、一般用途と事業用(ホテル・旅館)用途があり、一般用の火災保険では、事業用の物件での事故補償が受けることが出来ません。民泊の場合は、もともと一般用途の住居として一般火災保険に加入していますが、行政からの許可や届出で民泊経営をしている時点で事業用の物件になってしまうので、そこで起こった事故については、補償を受けることが出来なくなります。すると、すべての損害を民泊運営者がかぶらなければならず、大損失となってしまいます。

民泊施設に宿泊料金を頂き、宿泊させることは、立派な営利を目的とした事業です。
どんな事業にも運営者の過失によって、第三者を巻き込みケガをさせたりの事故はつきものです。民泊施設運営者は、宿泊者が安心して寝泊まりできる空間を常に維持しておくこと事は勿論ですが、万一その施設の管理が不十分で、例えば施設の窓につけた落下防止柵が劣化している事に運営者が気付かず、宿泊者が柵に手をついた瞬間に落下防止柵がはずれ、宿泊者が落下をして怪我や最悪亡くなる事故などは、実際に起きております。その宿泊者に対する損害賠償金は、高額な支払いになることが予想され、支払いが出来なければ、自己破産でもするしか方法がなくなりますし、そうなったら、本当にすべての財産を失ってしまいます。
このような人身事故に備えてきちんと保険の対策をしておかないと、このような極めて深刻な事態に陥ってしまう恐れが高いです。

民泊運営者のこだわりで、施設内に高額な家具や家電を置き、その家具家電を宿泊者が壊してしまった場合、宿泊者に民泊運営者は損害賠償金の負担を求めると思います。
しかし、言葉がうまく通じない外国人宿泊者だった場合や壊したことを運営者に告げずにチェックアウトをしてしまった場合は、修理費や買替の費用も全て運営者が負担しなければなりません。このような物損事故に備えてきちんと保険の対策をしておくことで、安心して民泊施設運営ができます。民泊施設内で発生する事故の多くは、火災や人身事故ではなく宿泊者による破損事故です。
Airbnbなどの民泊サイトでホスト補償を受けられるから大丈夫だと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどのケースで補償はうけられません。

民泊施設の事故に対する保険として事業者総合保険等に加入している方がおりますが、全ての事業に対応する保険で、民泊施設で起きる事故に100%備えることはできません。
ここで、一般社団法人民泊民宿協会が提供している補償サービスを利用すると大変役立ちますので以下で詳細をご紹介します。

5-1.会員補償制度の内容
一般社団法人民泊民宿協会は、民泊運営者向けに補償サービスを実施しています。この制度を利用するには、民泊民宿協会の会員になる必要があります。
会員になると、民泊運営者の施設内で起こった火災・人身・物損事故について、広く補償を受けられます。
詳細は、民泊民宿協会のパンフレットをダウンロードしてご確認ください。事業者総合保険では、物件ごとに見積もりが必要となり、保険料の金額も変わってきますが、民泊民宿協会の補償サービス(実質、民泊保険となります)では、個別見積もりが必要なく(一部必要あり)、一般的な民泊物件なら1日わずか68円~110円で補償を受けられるので、大きな安心を得られます。

5-2.補償例のご紹介
民泊民宿協会を利用した場合の補償例をご紹介します。

自己所有物件で民泊運営をする運営者
ケース1
①器棚の固定が不十分のため、棚が倒れて宿泊者に倒れゲストにぶつかり怪我をさせた。
②戸建で民泊施設運営をはじめ、建物にそで看板を付けたところ、施工が不十分で看板が落下して通行人怪我をさせてしまった。
■施設管理者賠償にて補償

ケース2
宿泊者が寝たばこの不始末が原因で火災が発生しました。運営者は、建物の現状回復賠償請求を宿泊者にしました。
■旅館宿泊者賠償にて補償
※注:宿泊者(ゲスト)の過失で起きた火災だけが補償の対象になりますので、それ以外の起因で起きた火災は補償の対象外となりますのでご了承ください。

ケース3
運営者が家具に拘りがあり、施設に高級リース家具を設置したところ、宿泊者がその家具に傷をつけてしまった。
■旅館宿泊者賠償にて補償



ケース4
宿泊者が、運営者が備え付けの什器備品や壁に穴をあけたり、床に傷をつけたりしてしまった。
■旅館宿泊者賠償にて補償


賃貸物件で民泊運営をする運営者
ケース1
①器棚の固定が不十分のため、棚が倒れて宿泊者に倒れゲストにぶつかり怪我をさせた。
②戸建で民泊施設運営をはじめ、建物にそで看板を付けたところ、施工が不十分で看板が落下して通行人怪我をさせてしまった。
■施設管理者賠償にて補償

ケース2
民泊運営者もしくは宿泊者の過失によって民泊施設から出火し、民泊運営者は、施設の貸主から現状回復の賠償請求を受けた。
■不動産損壊補償にて補償
■修理費用にて補償

ケース3
運営者が家具に拘りがあり、施設に高級リース家具を設置したところ、宿泊者がその家具に傷をつけてしまった。
■不動産修理費用にて補償
■旅館宿泊者賠償にて補償
宿泊者がトイレの便器に固い便を落とし、便器にひび割れが入った。
■不動産修理費用にて補償

5-3.入会方法
入会方法はとても簡単です。協会サービス申込から入会申込をするだけ。物件情報とその物件が法律上の許可もしくは届出の確認が幣協会にてできれば審査はありません。会費を入金するとその翌日から補償を受けることができますし、補償開始日を指定することも可能です。

民泊(シェアリング)市場の今

2018年6月15日の新法「宿泊住宅事業法」発足以来、民泊業界への参入を決めた大手企業がいる反面、
業界からの撤退を余儀なくされた企業や個人事業主も多く、現在この業界の市場を一言で言うにはあまりに難しい状況だ。
新法発足後、一度は急激にその数を減らした国内の民泊物件であるが現在は緩やかながらもその数は増加の一途にある。
とはいえ、課題も多い。多くのホスト、そして管理業者を悩ましている課題をあげると、おおよそ下記のようなことが考えられる。

①運営180日問題 ②駆けつけの問題 ③宿泊者名簿の問題

住宅宿泊事業法では、年間の宿泊日の上限が180日とされている。つまり、一年の半分しか営業できないのである。
これに各市区町村の条例を合わせると、曜日の規制なども加わり、さらにスムーズな運営を阻んでいると言っていいだろう。
もちろん、国家戦略特区であればこうした営業日数の規定はないのであるが、国内でも大体的に国家戦略特区域となっている大阪以外では、
都内では大田区のみなど全国でも10地域とその数は少ない。
こうした条例の抜け道として、現在多くのホストが住宅宿泊事業法での届出ではなく、旅館業法としての届出に切り替えている。
しかしながら、住宅宿泊事業法に比べ許可取得のハードルが高く、駆けつけに関しては10分以内などデメリットもある。

住宅宿泊事業法ではトラブル発生の際に30分以内(最大でも60分以内)で現地へ駆けつけを行わなければならない。
さらにかく市区町村の条例を合わせると、その時間は20分以内などとさらに厳しくなる。
そのため多くの管理事業者は、事業所周辺の物件(30分以内で駆けつけられる距離)の管理に止まらざる得ない状況にある。
また、管理事業者を指定する義務のない、特区民泊物件、簡易宿泊所のホストに至っては自宅(拠点)周辺で物件を探さなければならず、
不在型にも関わらずゲストが滞在する期間は拠点を離れられないのである。

住宅宿泊事業法では、住宅宿泊事業者は宿泊者名簿の備付けにおいて、下記の事項について行う必要があります。
・本人確認を行った上で作成すること
・作成の日から三年間保存すること
・宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日を記載すること
・宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号を記載すること
しかし民泊の場合、室内にチェックインタブレットを設置しゲストにチェックイン作業を行って貰う必要があるが、チェックインを行わないゲストが一定数おり問題になっている。

旅館業簡易宿泊所

文字通り「旅館業法」に基づいて運営される宿泊施設を言います。
旅館業法においては、「施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」とされ、「宿泊」とは、「寝具を使用して施設(ホテル、旅館業)を利用すること」とされている。 厚労省の資料によれば、旅館業にあてはまるか判断する基準として下記の4項目がある。

①宿泊料徴収の有無 ②社会性の有無 ③継続反復性の有無 ④生活の本拠かどうかを示している

しかし、上記ではその判断をするには曖昧である。そこで、旅館業法施行令では下記を補足している。
1.客室数は10室以上であること。
2. 洋室の構造施設にある客室は、次の要件を満たすものであること。

A. 1客室の面積は9平方mであること
B. 寝具は洋式のものであること
C. 出入り口及び、窓は鍵をかけることができるものであること
D. 出入り口及び、窓を除き、客室と他の客室、廊下等との堺は壁作りであること
E. 和式の構造設備である客室は、次項第2号に該当するものであること
F. 宿泊しようとする者との面接に適した玄関帳場、それに類する設備を有すること
G. 適当な換気、採光、防湿及び排水の設備を有すること
H. 宿泊者の需要を満たすことができる、適当な数の洋式浴室またはシャワーを有すること
I. 宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の洗面設備を有すること
J. 該当設備の規模に応じた適当な規模の暖房設備があること
K. 便所は水洗式であり、便座式のものがあり共同用のものにあっては男子用、女子用の区分があること
L. 該当施設の設備場所が法第3条第3項各項にあげる施設(以下「第1条学校等」)の敷地の概ね100mの区域内にある場合には該当第1条の学校等から客室または客にダンスをさせ且つ、客に飲食させるホール若しくは射幸心をそそる遊戯をさせるホールその他の設備の内部を見通すことを遮ることができる設備を有すること
M. その他都道府県(保健所を設置する市または特別区にあっては、市、または特別区)が条例で定める構造設備が基準に適合すること

おおよそ上記のような内容ですが、2018年6月15日に住宅宿泊事業法が改定されると共に旅館業法も一部改定されました。

 最低客室数(ホテル営業:10室 旅館業法:5室)

洋室の構造設備の要件(寝具は洋式であること、出入口、窓に鍵をかけることができること、客室と他の客室等との堺が壁作りであること)が廃止された。

1客室の最低床面積(ホテル営業:洋室客室9m2以上、旅館業:和式客室7m2以上)が、7m2以上となった。
(寝台を設置する客室は9m2以上)

以下のAからCをいずれも満たし、宿泊者の安全や利便性の確保ができる場合には、玄関帳場を設置しなくともよくなった。

A. 事故が発生した時その他の緊急時における迅速な対応のための体制が整備されていること。
緊急時に対応できる体制については、宿泊者の緊急を要する状況に対し、その求めに応じて、通常概ね10分程度で職員等が駆けつけることができる体制を想定しているものであること。
B. 営業者自らが設置したビデオカメラ等により、宿泊者の本人確認や出入りの状況の確認を常時鮮明な画像により実施すること。
C. 鍵の受け渡しを適切に行うこと。

ホテル営業の施設における暖房の設備要件が廃止された。

適切な数の便所があれば良いこととされた。

上記は民泊運営を意識して改定されたものであり、これにより簡易宿泊所の許可での民泊運営が可能となった。

民泊新法

2018年6月15日に施行された、住宅宿泊事業法に則って運営される民泊物件。
宿泊期間は3日から10日の間で、各自治体が定めた一定以上の宿泊をさせる必要がある。
この2泊3日以上の宿泊者しか受け入れられないというルールは特区民泊特有のもので、旅館業、新法による民泊運営にはない。
住宅宿泊事業法により、年間の運営日は180日とされている。

同居型と不在型があり、不在型に関しては管理会社を指定する必要がある。
また、各都道府県の条例は住宅宿泊事業法に加え、厳守する必要がある。

民泊特区

国が認めた国家戦略特区特区で運営される民泊物件。新法運営との大きな違いは、下記の2点である。

①180日の営業規制がない。 ②管理会社の指定が不要。(その代わりホストが自分で駆けつけを行う必要がある)

現在国家戦略室特区に指定されている地域は下記の通りである。

当初6泊7日以上の宿泊者に限定されていたが、2016年10月の法改正により3日に短縮された。

第1種住宅地域、第2種住宅地域、準住宅地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域での民泊運営が可能。

市は地域住民に迷惑をかけないよう十分配慮しつつ、観光、地域復興を図るよう「自然体験」と「地域住民との交流」をテーマに特区民泊を通し、賑わいのあるまちづくりを推進している。

特区民泊によるグリーン・ツーリズムをより一層推進し、田園部の活性化を図るとともに、空き家の活用や、推進を進め地方創生の実現を目指すしている。

特区民泊の導入で、地域資源を有効に活用した滞在型余暇活動の提供を促進し、グリーンエリアの実感価値向上及び、観光復興の推進を目指している。

現在特区民泊を検討。
他に、沖縄、秋田県仙台市(地方創生)、兵庫県養父市、宮城県仙北市(地方創生)、千葉県成田市、福岡県福岡市、愛知県今治市などがある。

上記は民泊運営を意識して改定されたものであり、これにより簡易宿泊所の許可での民泊運営が可能となった。

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